日本体育協会 日本スポーツ少年団講習会
スポーツリーダー兼スポーツ少年団認定員養成テキスト 2016年1月30日、31日講習会メモ
東京都小金井市貫井ジュニアーズ 白木コーチ
☆文中の「養成テキスト」「ガイドブック」については、
最終ページの引用文献を参照してください。


第1章 スポーツ少年団の理念とその意義
○スポーツ少年団の理念:「スポーツを通した青少年の健全育成」  ほぼこれですべて
・最近になって、スポーツを通じた地域づくりへの貢献、が追加されました。
生涯スポーツの基礎作り “こころ”と“からだ”の成長 地域づくり
スポーツの楽しさを教える。スポーツの習慣、継続、生活化
試合で失敗しても家に帰ったらほめてあげてください。(プレーの反省などは試合後にやっています)
○スポーツ少年団の範囲 学校、行政、商店街、自治会などの範囲。おおむね小学校の通学区域の範囲
○運営 団員・リーダー・指導者・育成母集団が団を自ら運営
→団員、ジュニアリーダー、シニアリーダーと学童はステップアップしていって欲しいので、小学校卒業と一緒に団を卒団する、という卒団式の形は避 けて欲しいといってました。
・未就学児の4歳以上も団員としてよいように改定する予定です。

第2章 スポーツ少年団の組織と運営
団の構成

   スポーツ少年団の組織 養成テキスト18p
○少年団の構成 団員:主体となる学童、リーダー:年少団員の取りまとめ(中高生)、指導員、育成母集団:保護者や地域住民組織
○少年団登録規定 原則として10名以上の団員と指導者2名以上(有資格者2名以上を含む)
○少年団は、レクリエーション、学習(気持ちを相手に伝える能力)、社会活動などスポーツだけに偏らない活動が求められます。
・発達発育に適した活動
・きまり、約束ごと、マナーなど社会性をはぐくむ活動をする。
・試合というより交流という心構え

第3章 運動適正テスト
・日本体育協会が行っているのが、「運動適正テスト」。文部科学省が行っているのが「新体力テスト」。腹筋の時に運動適正テストは手が頭の後ろ、新体力テストでは手が胸の前、とか、いろいろとちょっと違うので困る、と怒ってました。
○運動適正テストで、数値的に表せる体力は全体の中のほんの一部でしかない。あまり個々のテストの点数に一喜一憂しないようにしてください。
○体力:行動体力(身体能力)と防衛体力(病気への免疫)
○運動適正テスト:5種類のテストの実施
→ただし5分間走はかなり厳しいテストであるので、テストの中でも最後に行う。またこのテストを行うのは8歳以上とする。途中で歩いてもよい。

第4章 指導者の役割
・スポーツの意義:社会的影響が大きい
・指導者はコミュニケーションスキルが必要。自ら研鑽に努める。
○勝利至上主義とならない
○身体的・精神的暴力および言葉の暴力が無いようにする。言葉使いも大事
団員にスポーツが好きになってもらう。主体はプレーヤー。
○プレーヤーと共に考える姿勢が必要。やる気を引き出すコーチング
○会話の中でプレーヤーに気づかせる。目を見ることが大事。
結果の管理よりも経過の管理。(勝敗数ではなく、努力量や試合までの経過が大事)

第5章 文化としてのスポーツ
○生涯スポーツ論 筋肉を使うと頭が覚醒化されるよ。筋肉:1週間使わないとすぐ弱るよ。
・特定の種目にかかわらず、多くのスポーツを。スポーツを行うきっかけつくりが大事。ライフスタイルに合わせたスポーツ。
・スポーツマンシップとフェアプレー精神。

第6章 トレーニング論
6.1 体力とは 行動体力と防衛体力
・防衛体力 ストレスに対する抵抗力、罹患率の減少。ただし適切な休養を取らないとオーバートレーニングとなる。
筋力スピート持久力

   筋力とスピードの関係 養成テキスト76p

○筋力・スピード・持久力に関係がある
筋力大ではスピード小(筋力小ではスピード大)。筋力大では持久力小。スピード大では持久力小。
・パワーとは筋力×スピード
○ハイパワー:瞬間的な力。ATP-CP系エネルギーと呼ばれる。無酸素運動で7秒から長くても30秒で使い切る力。この力を使い切ると解糖系エネルギーに移行する。
○ローパワー:持久的な力。糖・脂肪の解糖系、有酸素運動。
6.2 トレーニングの進め方
トレーニング法にはどんどん新しいものが出てくる。常に情報を集める姿勢が必要
・トレーニング:日常生活ではかからない負荷(オーバーロード)をかける。体力に合ったトレーニング、得たい機能に応じたトレーニングが必要。トレーニング、やめれば落ちる。
○ウォーミングアップとウォームダウン(クールダウン)
ウォーミングアップの目的は、体温、筋体温をあげ、神経系の回路の通りをよくすることにある。心拍数をあげる。10から15分で筋温が上がる。上がりすぎないようにも注意。
・ウォームダウン。一番疲れるトレーニング強度の30%程度でダウンをするとよい。体に蓄積されている代謝産物を早く除去する効果がある。ウォームダウンをやらないと体は硬いまま。
6.3 トレーニングの種類:形態別と体力要素別に分類できる
形態別3種
1.持続性トレーニング 休息をとらないで15分以上。有酸素運動能力の向上
2.インターバルトレーニング 高強度と低強度のトレーニングを交互に行う。
3.レペティショントレーニング 高強度のトレーニングと休息を交互。
体力要素別にいろいろ
1.スピードトレーニング 反応スピードを高めるもの、反復スピードを高めるもの、移動スピードを高めるものに分けられる。
2.パワートレーニング
3.筋力トレーニング 重いバーベルなどを使用する際は安全面に十分配慮するように。

第7章 スポーツ指導者に必要な医学的知識
7.1 スポーツと健康
・加齢による体力の低下 悪くさせないことが重要。加齢で上肢の体力はそれほど落ちないが、下肢の体力低下が大きい。筋繊維の数の減少、太さが細くなる。深部感覚の低下により転びやすくなる。
・健康のためには、運動・栄養・休養の3要素が高いレベルでバランスすることが必要。
熱中症対策

   熱中症予防運動指針 ガイドブック裏表紙

7.2 スポーツ活動中に多いケガや病気(内科)
1.急性障害 いったん起きた場合には死に直結することもある
○突然死 ほとんどは心臓性突然死、いわゆる心筋梗塞 → 前触れなく起こることもある。家族歴があることもあるので、事前のアンケート調査が有効。胸痛をうったえることもある。
●熱中症 以前は日射病と呼んでいたが、日射の無い室内でも発生する。風通しの悪い体育館や室内でも発生する。
・湿球黒球温度計(WBGT)を用いて危険度指標を測るのが最適だが、そのような測器はなかなかないので、乾球温度計を使うのが一般である。
乾球温度計(普通の寒暖計)で35℃以上 : 運動は原則中止
31℃以上 : 厳重警戒(激しい運動は中止)
・熱中症の症状(併発するので判定は難しい)
→熱けいれん 大量の汗により血液中のナトリウム濃度が低下。水だけを補給していた場合に起こりやすい。濃い目の食塩水を補給すると回復する。意識障害は伴わない(意識障害があるようであれば、ためらわずに救急車を呼ぶ
→熱失神 発汗による脱水で血圧の低下が起きる 涼しい風通しの良いところに寝かせたうえで足を心臓より高く上げる。
→熱疲労 脱力、倦怠感、めまい、頭痛、吐き気。体温の上昇。十分な水分補給を行えば通常回復するが、水の経口摂取が難しい場合は救急車
→熱射病 脳にダメージがあるときで、最も重症型。40℃以上の体温、意識障害(おかしなことを言いだすとか)。躊躇なく救急車を呼ぶ必要がある。直ちに体を冷却する。霧吹き(スプレー)で水を体にかけてあおぐのも効果的
熱中症になりやすい時期:急に暑くなる時期。5月6月、ゴールデンウィークとか。梅雨明けの7月。夏休み明け。
○50kgの体重とすると、体重の2%の汗(激しいのどの渇き)=1リットルの汗→パフォーマンス20%減。
○発汗:ナトリウムだけでなく、カルシウムも失われる。カルシウムが汗と一緒に流れ出ることで、足がつりやすくなる。(足がつりやすい→カルシウム不足)
○スポーツドリンクなど、水だけでなくナトリウム、カルシウムを同時に取る。また、糖+塩分で体内への水分吸収力がアップする。ある程度の糖分も必要。
水だけを飲んだ場合→体内のイオン濃度が薄まる→脳が水を飲みたくなくなる→体に水が入らない(自発的脱水)
○一度熱中症の症状が現れたら:回復してもその日の運動はやめる。 (脳震盪、または脳震盪に近い症状が出た時も、回復してもその日はトレーニングに復帰しない)
運動前に300mlから500mlは水分を摂取する

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☆熱中症について参考URL
大塚製薬 の熱中症についてのページ
アンドロイドアプリ 市町村単位での熱中症アラート
(他にもいろいろあります)
iOS版の熱中症アラート
(iphoneはよくわからないのですが、ほかにも色々あるようです)
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2.慢性障害
○運動性貧血 陸上長距離ランナーは常に貧血との闘い。スポーツ貧血、運動性貧血と呼ばれる。プレーヤーが疲れやすいとうったえるときは、貧血の症状も疑うとよい。
○オーバートレーニング症候群 持久系種目のプレーヤーに多い。過度なトレーニングや休息が十分に取れていない場合など。疲れを残さないことが必要
7.3 スポーツ活動中に多いケガや病気(外科)
骨とじん帯

   成長中の骨 養成テキスト155p

1.スポーツによるケガの頻度と傾向
ケガの事例のうち、ねんざがトップ。33%が捻挫で続いて29%が骨 折。骨折は11-15歳が多い。ジュニア期はじん帯よりも骨が弱く、じん帯に引っ張られて、じん帯との接続部位で骨が剥離することがある。
捻挫をほおっておくと、足首が緩くなる、足が大人になって変形するなどの症状が出る。来院する12歳以下の捻挫は、9割がた、はく離骨折であるという統計もある。レントゲンではわかりづらく、MRI等で詳細に見ないとわからない。
→突き指と思ってほおっておくと、はく離骨折であることが多い。
→子供の頃は捻挫と簡単に判断しないで、専門家に診てもらうほうがよい。
○ケガの多い運動種目→球技。球技別ではバスケットボールが最も多い。
7.4 救急処置(救急蘇生法)
○救急蘇生法には一次救命処置と応急手当がある。
→一次救命処置 突然の心肺停止など、心マ(心臓マッサージ)や人工呼吸が必要。
手順
呼吸があるかと目視で確認する。(胸の上下を見ればわかる)
心マ:1分間に100回を目安。30回心臓(胸部)圧迫して2回人工呼吸(30対2の割合)
人工呼吸はマウスシートがある場合に行う。なければ心マのみでよい(感染症予防)
心臓停止の際のAEDの使用
☆患者の反応を確認する、ほかの応援を呼ぶ、呼吸が停止していないかどうかを目視で確認する。
AEDの使い方はAEDの箱を開けると自動で音声が流れるので、それに従う。
電極パッドを張り付けるところの、汗をよく拭きとる。
7.5 救急処置(外科的応急処置)
応急処置のRICE
R:Rest(安静)運動の停止と、患部の固定
I:Ice(冷却)
C:Compression(圧迫)患部の圧迫で内出血を防ぐ。
E:Elevation(挙上)患部を心臓より高い位置にする
○傷の手当
擦り傷や裂傷に対して
水道水で構わないので、水圧が高くしてガンガン洗う。10分くらい洗ったほうがよい。
傷の洗浄

   傷の消毒 養成テキスト122p
洗ってあげる人も、最初に自分の肘から先をしっかり洗う。
傷口に残った泥や汚れが、雑菌により感染症を併発するので、患部の汚れをしっかり取る。歯ブラシやガーゼを使ってごしごし洗いとるのが良いが、さすがに痛いので、水をガンガン流して手で汚れを取ってあげる。水道の最大まで開放して10分くらい流している感じ。

第8章 スポーツと栄養
8.1スポーツと栄養
○五大栄養素の役割
三大栄養素 糖質(炭水化物)、脂質、たんぱく質で、エネルギー源となる。これに、ビタミンとミネラルを加えて五大栄養素と呼ばれる。
炭水化物とは糖質+植物繊維のこと。炭水化物(ごはん、パンなど)はエネルギーの基本であるので、スポーツ選手および成長期の学童に炭水化物ダイエットはありえない
☆バランスよく栄養を取ることが大事。特にジュニア期は一般型と呼ばれる骨、筋肉、内臓が成長する大事な時期であるので、それらの元となるたんぱく質・ミネラルを適切に摂取しなければならない。
○ビタミンの役割:エネルギーそのものではないが、エネルギーを効率的に変換するサポーター役
○水を体内に取り込むためにはナトリウム(ミネラルの一種、塩分)が必要
○骨の成長には、コラーゲンなどのたんぱく質とカルシウム・マグネシウム等のミネラルが必要である。
○骨は縦に大きくなってその数年後太くなる。
○トレーニングの前に、バランスの取れた食事ができるに越したことはないが、とにかく何でも口に入れてくることが重要
練習直後、30分以内にご飯を食べることが、疲労回復に最適である。練習直後におにぎり、オレンジジュース、とか摂取できるとベター(炭水化物(糖質)と果物、水分。たんぱく質が取れるとさらにいいので、チーズの入ったパンとかもベター)
例:練習場所が遠く、練習(試合)後にバスで移動など。練習直後におにぎり摂取とか、夏場とかご飯が痛んでダメになるのが気になるのであれば、プロテイン摂取とか(プロテインは魔法の薬ではありません。通常の食事で十分摂取できます)。おにぎりは、コンビニおにぎりであれば2個くらい食べましょう。
○コーラを飲むのが禁止というわけではなく、トレーニング直後に飲むものではない、という意識が必要。
○水分の摂取の必要性
→体の3分の2は水。体内活動はすべて水に溶けた形で化学変化をしている。
→のどが渇く:2%程度の水分がなくなっている。脱水症状。のどが渇いた時点で水を補給しても20分は体内に取り込まれない。その間は脱水症状のままである
のどが渇く前に水を摂取する必要性。1回の水飲みはコップ1杯。がぶ飲みはしない。汗などで排出された分を摂取する。運動の前にも水分を摂取しておく。
→スポーツドリンクは甘すぎる?
ポカリスエットは汗とほぼ同じ成分でできている。粉末ポカリを少ない容量の粉末で薄めに作ったり、ペットボトルのポカリを薄めたりすると、汗の成分より薄くなり、ナトリウム不足となる。
大塚製薬の人のアドバイス:粉末ポカリは記載されている量で作ってください(薄めないでね)
講義の栄養士のアドバイス:とにかく口に入れないと話にならないので、甘すぎて(濃すぎて)飲めないというのであれば、薄めて大丈夫です。食事等で必要な塩分は取っているはずです。
○水はおおよそ1日に2.5リットル摂取する必要がる。そのうち食事で1.5リットルは取れているはずです。お味噌汁とかお米にも水分あるし。
○体重管理
体の成長は体重の推移によく表れます。1日のうちでも体重は変動するので、早朝空腹時の体重測定を定期的に行うのが理想です。

第9章 指導計画と安全管理
9.1 指導計画の立て方
指導計画を作成することが重要。
対象者の特性を考慮しなければいけない。年齢(学年)で心肺機能の差が大きい。
プレーヤーの経済的な環境も重要であり、用具の負担も考慮しなければいけない。
☆選手の目標が大事
指導の目安。小学校1・2年生:スポーツの楽しさに重点。3・4年生:基本。5・6年生次のステップを見据えて。
選手の資質。子供たちに語り掛けることが必要。あと子供たちの言葉を「聞く」ことが大事
指導者の資質も重要。無理をしないでできることで貢献する。支援者の存在も重要。
計画の立案に際しては、近くのチームの練習方法なども参考にできる。
天候などにより、計画通りに進まないことも考慮する。
☆指導計画は、実施、変更、検証のサイクルが大事であり、一朝一夕にはできない。
9.2 スポーツ活動と安全管理
安全管理が一番大事で不可欠
練習場所への移動での安全対策。練習に携行する水、救急箱。運動施設の点検(スタッフは早く来て練習場所、施設の点検をする)。
☆プレーヤーの観察。選手が集まった時の顔色、ケガがないか、通常と異なる点はないかとかに注意。運動中も動きに注意を払う。
指導者は、選手個々の動きと、全体の動きに注意を払う(人手があれば、マンツーマン指導とは別に、練習風景全体を見通している指導者がいるとよい)
練習からの帰路の安全まで気を抜かない。
☆指導者の数が不足する場合であれば、トレーニングの内容よりも安全対策を重視する。
☆スポーツ安全保険等に加入する。指導者の事故も多い

第10章 ジュニア期のスポーツ
10.1 発育発達期の身体的特徴
男子は平均12.8歳、女子は平均10.6歳の時が、最も身長が伸びるときである。伸びるとき=ケガをしやすい時期。また、身長が伸びるときは体重の増えるとき。ジャンプ運動とか、適度な運動刺激は骨格の発育に有益であるが、やりすぎはダメ。
○スキャモンの発育曲線
スキャモンの成長曲線

   スキャモンの発育曲線 養成テキスト149p
1930年代から提唱されている有名な発育曲線図。特に神経型(神経、筋コントロール能力、バランス感覚)の発育と、一般型(骨、筋肉、内臓)の発育が特徴である。
バランス感覚などの神経系の発育は10歳までに急速に発達し、6から12歳ごろでは刺激への反応が素早くなる。神経系の発達期は、過剰に神経細胞が増殖し、この時期に使われない神経細胞は消失することになる。 このため、小学校低学年のうちに、いろいろな運動をすることが大事である。様々な活動刺激を受けることで、その後の他種目への移行もスムーズにできるようになる。
神経系の発達期には、動作のイメージを大切にし、リズム感や姿勢制御といったバランス感覚が必要な運動が、効果が大きい。
速筋は、最も身長の増加が大きい時期の後に発達する。伸び盛り前では、速筋を鍛えるトレーニングはほどほどでよい。
10.2 発育発達期の心理的特徴
○発育期に「できない」経験が多くなると、「運動無力感」を成人になるまで持つことになり、何事にも消極的になりやすくなる。成績志向よりも、努力や家庭を重視する指導が必要である。
○人間には80を超える基礎的運動パターンがあるといわれているが、6から7歳頃までに、すべての基礎的運動パターンは習得されている
○幼児期(6から7歳頃・年中さん、年長さん)の運動が重視されてきている。
「即座の習得」9歳から12歳の発育期はゴールデンエイジと呼ばれ、運動フォームの習得が短期間にできるといわれている。何かの動作を無意識にできるまで習得するのに、ゴールデンエイジでは300から400回の反復で習得できるが、大人になると8,000回の反復が必要であるといわれている。
○25歳から、何もしないと筋力は毎年10%落ちる。
10.3 発育発達期に多いケガや病気
○ジュニアスポーツで起こりやすいケガ
・発育発達期には骨に成長軟骨(骨髄線)がある。これを痛めると大きくなれないし、大人になって体のバランスが崩れる。
・発達順番。最初に骨が発達し、そのあと筋肉が発達する。そのため骨の成長期は筋肉が引っ張られることになる(成長痛・中学生の体が硬いのはある意味やむなし)。ケガ予防のストレッチが重要になる。→成長痛の一因→運動の量を制限する必要がある。
・体の中心から遠いところの成長が早い。(すねの骨が伸びてから大腿の骨が伸びる)
・中学生までは転倒、受け損ないなど、自分が原因のケガが多いが、16歳以上では衝突転倒といった、対人対物のケガが多い。
・野球肘:投球時の肘にかかる外側へのストレスが、内側の骨髄線を損傷する。痛みが続く時は病院で診察を受ける必要がある。
○スポーツで起こる内科的障害
・発育発達期は多くの病気に対して免疫を持っていないため感染症にかかりやすい。
・乾燥した冷たい空気は気道を刺激して、ぜん息発作を起こしやすくする。ぜん息には屋内の水泳が勧められる。
・女性は月経も始まるため貧血が多い。
○熱中症予防
・熱中症は高温・多湿の環境で起こる。
・熱中症になった場合は、キリフキで水を体にかけてあおぐのが有効。
定期的、計画的に水分補給で脱水症を防ぐ。スポーツ前にも水を飲む。
・寒さ対策として、汗をかいた場合は早めに着替えをして汗をとる。
10.4 発育発達期のプログラム
○発育発達に応じた指導
ゴールデンエイジ

   プレゴールデンエイジとゴールデンエイジ 養成テキスト163p
小学生は、集中が30分もたない。
5,6歳から8歳ごろにかけて プレ・ゴールデンエイジ
この時期は神経系の発達が著しくみられる時期である。脳や体の中の神経回路が張り巡らされていく時期である。ただし、正しい動きとは異なる神経回路も同時に形成され、不必要な動きが同時に出てくる。 これは8歳ぐらいを過ぎると徐々に見られなくなっていくものである。この時期は新しいことに常に興味が動き、体が動いていないと気が済まない時期。落ち着きがなくて当然の時期
 この時期は、集中力が持続しないことを前提に、基礎となる動きを繰り返し反復することが効果的である。また、技術よりも遊びの側面を取り入れたほうが良い。
・9歳から12歳ごろにかけて ゴールデンエイジ
この時期になると、不必要な動きは消えていき、自分の体を正確にコントロールできるようになる。新しい動きに対しても「即座の習得」ができる時期である。ただし、プレゴールデンエイジ時期に基礎的な動きができていることが前提である。 この時期に覚えた動きは、一生忘れることがないといわれている。この時期にさまざまな運動、スポーツを経験しておくことが、将来習得するスポーツにも有効である。
・中学校期13歳ごろ以降
年齢ごとの成長

    成長期と各種体力の向上に適正な年齢範囲 養成テキスト166p
発育発達期のスパート期。即座の習得という能力は表れにくくなるが、これは動きを理性的に理解しようという傾向が強くなるからと考えられる。このころは、性差に応じたトレーニング、技術や戦術を含めた技能の習得が効果的である。
この時期以降は徐々に専門的なトレーニングに移行していくが、規則正しい休息日を設けることが重要である。また指導者は常にプレーヤーとコミュニケーションをとる必要がある。
発育発達期:スポーツが好き、という気持ちをプレーヤーに持たせることが重要。

第11章 地域におけるスポーツ振興
スポーツを文化として、地域でまとまってできるといいね。生涯スポーツを目指して。





引用文献
○スポーツリーダー兼スポーツ少年団認定員養成テキスト、公益財団法人日本体育協会 日本スポーツ少年団、2015年4月、第14刷
○スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック、公益財団法人日本体育協会、2013年4月(2013年度版改訂)
以上です



ご意見、ご質問(答えられる範囲ですが)、ここは読みにくい、などありましたら、ぜひ白木コーチまで(shiraki-k@nifty.com)でお知らせください。よろしくお願いします。

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